果敢に時代を切り開く挑戦者『サイコパス』著:中野信子 書評

スポンサーリンク

はじめに

サイコパス」という言葉が使われることが最近増えています。アニメキャラでもTVに出てくる人に対してもネット上で「このサイコ野郎!」と罵る場面を見ることがあります。

では実際にサイコパスって何なのでしょうか?

なんだろう、一般常識とか良心が通用しない・・・とにかくヤバい奴

どんな人間に対してサイコパスと呼ぶのだろうかと聞かれると、このほかに「関わったら絶対厄介なことになりそうな存在」、もっといえば「平然と人を殺しそうな人間」というイメージがあります。

なぜこの本を手に取ったのか

サイコパスとは結局何なんだろうという疑問を持ったことから私はこの本に興味を持ちました。

過激な口調で超大国の大統領なった人や、何食わぬ顔をして経歴を詐称し不正に仕事や利益を得ている人を見たり、知り合いの会社社長が平然と嘘をついては周りを混乱させている場面を思い出したのです。ふと「この人たちってなんだか普通じゃないな、普通じゃないけど何なんだろう」と感じました。

主な内容(サイコパスの特徴)

・サイコパスは普通の人より恐怖・リスクを感じにくい
・その為、傍から見るととんでもない挑戦にも果敢に立ち向かうように見える
・しゃべりはうまく性的にも魅力的

・他人と共感は出来ないが、相手を冷静に観察出来て他人を操縦する事が得意
・上記の特性からサイコパスは人の上に立ち歴史を動かしてきたことがある
・サイコパスは危ない人間とは限らず新しい時代をつくる挑戦者ともいえる

 良いサイコパスもいる

スティーブ・ジョブスもサイコパス!?

サイコパスは人の気持ちをわかることが出来ない冷酷な犯罪者とレッテルを貼るのはまだ早いです。この本ではサイコパスだから成功した人を「勝ち組サイコパス」、犯罪に走ってしまった人を「負け組サイコパス」と呼んでいます。

例えば痛みを伴う改革を断行することでしたら平静と決断できるサイコパスの方がサラッとできます。リスクを伴う起業なども不安や恐怖心が普通の人よりも少ない為、実行に移すことが出来るのです。

だから実業家や社会を動かしている層にはサイコパスが多くいると言われています。例えばアップルの創業者であるスティーブ・ジョブスもそうだと書いているのです。

確かに並みの人物ではありませんがサイコパスだとは・・・。ただ自伝を読んだことがあるのですがジョブスは部下が提案した企画をボロカスに言って却下してから、後日その企画をさも自分が思いついたかのように部下に話して聞かせたエピソードがあります

平気でうそをつくという点では当てはまりますね。さらに人を引き付けるしゃべりがうまいことも当てはまります。ものすごい努力が裏には隠されていますが天性のものもあるのでしょう、ジョブスのプレゼンには多くの人がくぎ付けになります

そう考えるとそうなのかも、とこの本を読んだ限りではそう思えてしまいます。

実は周りにもいる

知り合いの社長さんでバリバリと実績を上げている人がいます。だからといって社員からの評判がいいわけとは限りません。

残業は当たり前、社員の気持ちを考えず会社の利益第一で命令を下す。勤務時間外でも社員を連れまわすなど公私を分ける部分が全くないなどの事をしています。

悪く言うと「独裁」、良く言えば「リーダーシップがある」という表現が出来ます。なんだか好きになれないし普通じゃない人なんだけど口がうまいから乗せられてしまい社員も仕事をしているような会社です。「私人間であったら関わっていないだろう」と、辞めた人は言っていました。

並みの神経じゃないからこそ出来ることがある

その人は独断専行で物事をどんどん進めていく人です。仕事でも「これ」と決めたら突き進んでいくのです。

詳しい内容は言えませんが「これからは○○の時代だ!うちの会社もそれを新規事業として始めるぞ」と言い、社内留保を使ってその新規事業に力を入れていきました。

全くやったことの無い分野です。現在の事業に関連する拡大ではないのでリスクがありすぎに見えます。しかも上層部は別に賛成していません。「社長がなんか始めたぞ…」という反応です。

せっかく俺たちが稼いだお金を、なんだかよくわからないものにつぎ込んで」と批判めいた陰口もあったようです。(筒抜けなんですね…こういう陰口って。)

しかし順調に事業は大きくなり、その事業による稼ぎは今までの事業と同じくらいにまで拡大していったことで状況は変わってきます。「せっかくのお金をわけわからんことにつかっている」という批判から「すごい、やるなぁうちの社長」といった空気に変化したそうです。

リスクに対し恐怖を感じず、口がうまくて人を動かすのがうまいからこそ出来たのだと思います。先見の明があったのは勿論ですが。社員側も、なんでかわからないけどあの社長に言われるとやることになってしまうみたいです。

この社長の特徴、最初に書いた『サイコパス』の主な内容に良くあてはまります。だからこそ成し遂げられたのだ、事業を拡大し会社を大きくすることが出来たのだと、この本を読んで納得が出来ました

サイコパスを知り、向き合い方を考えるきっかけになった

サイコパスは太古の昔からマイノリティではありますが一定数存在し続け、時に時代を動かしていったのです。ジョブズや先ほどの社長のように新しいことに果敢に挑戦しそれを成し遂げていったようにです。

確かにやばい奴ではありますが、全員が犯罪者というわけではなくサイコパスの特徴を良い方向に使った結果、社会をより先へ進めていく事が出来たというわけです。

とはいえ悪い奴もいます。この本で解説されているサイコパスについて知っておくと、自分がその被害にあわないためにどうするべきかを考えるきっかけになります。太古の昔から滅びずに存在していたのです。排除ではなくうまく付き合っていくことが出来ればなと考えるようになりました。

自分の周りにも、もしかしたらいるかもしれないのです。どんな人がサイコパスの傾向が高いかをチェックする表もあります。自分がそうかもしれませんからチェックしてみても面白いです。

ちなみに私はいくつか当てはまりましたがサイコパスではないみたいでした。そもそも不安や恐怖感に支配されている鬱なので、その逆側にいるようなサイコパスの可能性は低くなります

ただ、実際に判断をくだすのは医者です。自己診断はやめましょう。他人に「こいつはサイコパス」と勝手に言うこともいけません。

まとめ

・サイコパスはヤバい奴に見えることもあるが全員が悪者というわけではない
・サイコパスだから成功する、社会に貢献できる例もある

この本を読んでサイコパスに対する見方が変わりました。おそろしい危険人物というのではなく、普通とは違う思考回路という事が分かりました。

こんな人におススメ

・サイコパスについて知りたい方
「サイコバス」について知りたいとか、理解したいと考えているのでしたら、一度読んで見る事をオススメします。

・サイコパスに漠然とした不安感を持っている方
この本を読んだことで、サイコパスが一概に悪いわけではないことがわかりました。そのためサイコパスに対して恐怖感を持っている方には、まず読んでみて「知る」事でその恐怖感は和らぐ内容になっています。

・他人の気持ちがわからず浮いている方
自分はどうも他人の気持ちがわからないなど、「もしかしたら自分はサイコパス?」と思ったり、そう周りに言われたことがある方にもおススメします。自分でサイコパスのテストをしてチェックも出来ますのでやってみると良いです。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする