「思考は現実化する」、ナポレオン・ヒルの著書ですね。自己開発の本として日本でも訳されています。この本は自己実現の事を書いています。自分を良くしていくための内容です。しかしこの記事では書籍の内容には関係ないこと、むしろ逆の事例を書いていきます。
マイナス思考は努力なしに実現する
自分の目標を強く考え、情熱を持ってモチベーションが高いままにしておく。そして実現の為に不断の努力を続けていれば目標は実現できる！という内容の本は多く売られています。読んでいてわくわくしますよね。
そういったものはとても良いと私は考えています。ですが、目標を見失っていた時は全く逆の心の状態になっていました。つまり目指すものもなく、何をどうすれば良いのかわからない…という状態です。
仕事で長時間拘束されて疲れ切っていたプロジェクトがありました。毎日のように残業し、日付が変わる頃にようやく解放され、また翌朝8時ごろに出勤する。ちなみに通勤は往復4時間。21時に帰ることが許された時は「今日は早く帰れる！」と喜んだものでした。麻痺してましたね。
そんな身も心もおかしくなった時にトラブルが起こりました。あるソフトを作っていたのですがプログラムの入力ミスがあり、動かなくなってしまったのです。私がかかわった部分ではなかったのですが、「主にプログラミングをしているのはお前だ、だからお前が悪い」と言われてしまったのです。
上の人間からもぼろくそに言われ、もう嫌になりました。そしてこう絶望したのです。
「これだけやってぼろくそに言われては…もう自分はダメなんだな」と。
ここから私は急な坂を転がるようにモチベーションが下がりました。
「もういい、どうでもうだめだ」「どうせ近いうちにクビだろう」「頑張ったって無駄」などなど、マイナス思考が徐々に自分の思考を支配していったのです。当然自分で「ダメだ」と思っているわけですから、頑張る理由・努力する理由がなくなります。どうせダメだと思っているのですから。
すると本当にダメになっていきましたね。仕事関係の勉強をする気も起きませんでしたし、本も全く読まなくなりました。自己研鑽・自己投資といった言葉が自分から消えました。そうなると知識がどんどんなくなります。頑張って自己研鑽している周りと比べるとどんどん劣等生化していきます。
こうして本当にダメになっていった私は、ついにクビを宣告されます。「自分はダメだ」「どうせクビだろう」という思考が、現実化してしまったのです。
マイナス思考は際限なく続く
とうとうクビになった私は失意のもと、故郷へ帰ります。クビになってしまいました…。何もかもが嫌になり家で一人ボーっとしていました。さてそこからどういう思考になったかといいますと、さらに「起きてほしくない事」を考えるようになったのです。
抑うつ状態と診断されて薬も飲んでいましたが、体調は崩しがちでした。「このまま無職の状態が続いてしまったらどうしよう…」と考え込んでいました。
さらに追い打ちをかけるように恐怖の郵便物が届きます。税金や保険料、年金の振込用紙です。貯金はそれなりにありましたがいきなり、一括ではありませんが無職の人間に数十万円払えと言われては、なかなか心にきついものがあります。
そして保険料を払った時には、「このままずっと無職で、さらに大病になったらどうしよう」という恐怖感も生まれました。保険料を払えば自己負担は軽くなりますが、収入が無い状態でもし病気になったら…というのは本当に恐怖です。「お金が無くて医者にかかれない」なんて昔話だと思っていましたから。
でも、ふと我に返ります。
底を打った、上りはじめた
気づけばあのトラブルから3年経過していました。この3年間、ずっとマイナス思考が支配していました。そして、その思考は現実化していたのです。自分はダメだ、クビだ、病気(抑うつ状態)だ…。「こうなってしまうかもしれない」と絶え間なく考えていたことが実現してしまっていたのです。ついにそれに気づきました。
これまでの自分に引きましたね。ずーっと考え込んでいたことが起こってしまったこと、そもそもずーっとマイナス思考だった自分にです。
さすがにまずいと思い、「結局自分は何がしたいんだろう」と考え始めました。「やりたいこと」「昔、楽しかったこと」を自己分析しました。
そういえば学生時代に「起業がしたい」と考えていたことを思い出しました。そのために大学の学部も選んだという事を、過去の記憶から引っ張り出しました。
「じゃあそれをやろう」と考え、まず起業するためには何をするか、最終的にどうなりたいかを考えるようになりました。ここでようやくプラスの事を考えるようになり、建設的な思考回路になりました。
そこからは楽しくなりました。確かに収入が無いのはちょっと不安もありますが、それ以上に「今生きていること、やっていることが楽しい」と感じられるようになったのです。そうなると考えていたこと、マイナスではないプラスの事が起こり始めるようになったのです。
起業の為に勉強し始めました。先生や仲間に出会えました。そしてその方々と一緒に勉強することで刺激を受け、頑張るぞという気持ちを取り戻しました。自己投資や自己研鑽も再び始めるようになりました。
現在、この調子で負のスパイラルから脱し、プラスのスパイラルになってきています。
プラス思考こそ力の根源
仕事にトラブルから、3年もの間マイナス思考に支配されていました。そしてマイナス思考は実現しました。実現のための努力は一切やっていません（そんなことをする人はいませんがね…）。
しかし、一度プラス思考に転じると嘘のように気持ちは楽になり、自分にとって良いことが起こるようになりました。それはさらなるプラス思考を生み出したのです。
今、目標に向かって努力をしています。マイナスの事とは違い努力したり頑張ったりする必要があります。これが無ければ実現するための前提条件はそろいません。
でもこの努力や頑張りは「苦労」とは思えません。苦しくないんです。むしろ楽しいんです。だって自分がやりたいからやっているという努力ですからね。
というわけで、自分はマイナス思考してるなと感じている人はすぐさまプラス思考に転じてください。ずっとずっとその思考のままだと、本当にマイナスなことが起こります。起こり続けてしまいます。
プラス思考になるのが難しければ、せめてマイナス思考はやめてください。「今マイナス思考だな」と感じるたびに、手を叩いたりつねったり、顔を振ったりして我に返るようにしてみてください。
人生、好転しますから。